終活に向けて財産目録を作成しようと思っています。財産目録の書式は決まっているのでしょうか。

財産目録には、特に決まった書式はありません。イメージを持っていただくために簡易的な財産目録を貼り付けましたので、参考にしてください。これはあくまで簡易的な一例ですから、その他の財産があれば書き足していく必要があります。

市販されている生前整理ノート(エンディングノート)には財産の記載欄がありますので、それを利用されてもいいと思います。

当事務所では、相続に係るご相談にお見えになられた方には生前整理ノートをお渡ししております。

財産目録を作成するメリットはなんでしょうか。

例えば、遺言書を作成する場面において、どの財産をだれに相続(または遺贈)させるかを記載する時に、事前に財産目録を作成しておくと財産の記載漏れのリスクが減少すると思います。

また、遺言書を作成せずに亡くなった場面においては、相続人が遺産分割協議を行うことになりますが、その前提として、相続人は相続財産に何があるのかを把握しなければなりません。その時に財産目録が残されていれば、遺産分割協議が円滑に進められます。

特に、相続税の申告が必要な場合には、亡くなってから10か月以内に申告しなければならないという期限がありますから、財産目録があれば申告に向けての負担感は軽くなるのではないでしょうか。

財産目録を作成する場合に留意すべき点について教えてください。

まず、財産を漏れなく記載することが必要です。財産は、例えば、以下のような種類に分けられますので、種類ごとにまとめて記載すると良いでしょう。

①不動産(土地及び建物)

②預貯金(銀行など金融機関に預けているお金)

③有価証券(株や国債など)

④現金(金庫などに保管してあるお金)

⑤動産(自動車や、高価な骨董品、貴金属、宝石、絵画など)

⑥会員権(ゴルフ会員権など)

⑦保険(生命保険・損害保険など)

⑧債務(マイナスの財産、いわゆる借金)

次に、作成した後は、定期預金の解約や不動産の売却などで財産に異動が生じることがあります。よって、状況に応じて修正をしていく必要があります。

まとめ

業務において、遺産分割協議書の作成支援をさせていただくことが多くありますが、現状では、被相続人(亡くなった方)において財産が一覧できるような目録を作成していた方はいませんでした。また、被相続人の相続財産を的確に把握している相続人の方も非常に少ないように感じます。

相続人の範囲については、戸籍謄本を取得すれば確定できますが、被相続人にどのような財産があるかを把握するためには、遺品整理をしながら財産を調査していくという事例も少なくありません。

不動産の相続登記の義務化(相続から3年以内に登記申請)が始まり、相続税申告期限も10か月以内というスパンがある中で、円滑に相続手続が進められるように、終活に向けてやることリストの一つとして、財産目録の作成を入れていただくことをお勧めしたいと思います。