自分にどのような財産があるか記録しておいた方がいいのでしょうか?
遺言書を作成するにしても、遺言書がなく相続人が遺産分割協議をすることになったとしても、どのような財産があるかが前提になりますので、作っておくことをお勧めします。自分がこれまで作り上げた財産をまとめておくだけでもどこか安心するのではないでしょうか。
一般的には、財産目録と言いますが、法律で定められた様式はありませんので、手書きでもパソコンで作成してもかまいませんし、信頼できる家族に代書してもらってもいいです。この頃、本屋に行くと、やたらと生前整理の手続や、エンディングノートの書き方、死後の手続などに関する本がいっぱい並んでいます。それらにはだいたい財産目録の雛形が載っているので、それを参考にして作成されてもいいと思います。中にはめちゃくちゃ細かいことまで書く様式になっているものもあり、見るだけでうんざりしてしまうものもありますから、自分が書きやすいと思ったものがあったらそれを選んでもいいと思います。
財産目録を作る時に気を付けることはありますか?
相続する財産は、プラス(資産)のものだけではなく、マイナス(負債)、例えば、金融機関や他人からの借入金、保証債務、ローンの残債務などがある場合には、それらも記載しておきましょう。
資産より負債の方が多い場合、相続人が負債のことを知らずに遺産分けをして少しでも遺産を使ってしまった後に債権者が債権の回収を求めてくることがあります。その時には家庭裁判所に対してする相続放棄の手続は取れなくなっている可能性が高いです。特に事業をやられている方は、気を付けたいところです。
その他に気を付けることはありますか?
ここ数年で社会のデジタル化が一気に進み、スマホ、パソコン、各種のネットサービスが日常生活に欠かせなくなっています。今は、ネットバンキングやネット証券を使っている方も多くなっています。それとともにユーザー名(ID・アカウント)、パスワード、PINコード(個人認識番号)といったデジタルの個人情報の管理が重要になっています。これらのデジタルの個人情報は、第三者に知られないようにしっかり管理をしなければなりません。
問題は、自分が亡くなった時、どのようにしてID、パスワード、PINコードなどの情報を遺族に知らせるかです。
知らせる方法としては、財産目録とは別に情報をまとめておき、信頼できる家族に渡しておくのも一つの方法であり、また、書き方の工夫は必要ですが、遺言書(公正証書でも自筆証書でも)に記載しておくことを検討されてもいいと思います。
私は、公務員として勤務していた時代はデジタル情報も限られたものでしたが、個人事業主になってからは必要に迫られていろいろな契約をするようになってデジタル情報も増えてきました。これをまとめずに亡くなったら家族は相続の時に大変だろうなと思って分かりやすいように一覧化するようにしました。
次回以降も皆様に参考となる情報をアップしていきたいと思いますので、ご閲覧いただけると幸いです。