数次相続とはどういうことでしょうか。

下の相続関係図を例にしてご説明します。

数次相続とは、被相続人祖父Aの相続(第1の相続)が開始した後、遺産分割や相続登記などの相続手続が終わらないうちに、相続人Dが死亡し、次の相続(第2の相続)が開始してしまった状態のことをいいます。

数次相続における遺産分割手続はどうなるのでしょうか。

遺言書がないことを前提にして、相続関係図を例にしてご説明します。

①第1の相続の相続人全員が参加して、祖父Aの遺産について分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議に参加するのは、祖父Aの相続人Cと、祖父Aの相続人兼Dの相続人F及びGの3人になります。

②第2の相続の相続人全員が参加して、Dの遺産について分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議に参加するのは、Dの相続人であるF及びGの2人になります。

以上のとおり、①及び②の遺産分割協議書をそれぞれ作成することになります。ただし、①及び②の遺産分割協議書を1通にまとめることも可能ではありますが、第1の相続と第2の相続のそれぞれの遺産分割の内容が矛盾なく明確になるように記載しなければなりません。

数次相続が生じてしまった場合の相続手続における留意点を教えてください。

相続手続では遺産分割協議を早期にまとめることが重要になります。その前提作業として、まず亡くなった方(被相続人)の遺産には何があるのかを調査・確定するのと並行して、戸籍等を取得して相続人がだれになるのかを確定しなければ遺産分割協議を進めることはできません。

数次相続が生じている状態では、上記の作業量は必然的に多くなりますので、相続人の方々が協力・分担して作業を進めることが必要といえるでしょう。

数次相続を放置しておくと、第3の相続が生じてしまい、さらに相続関係が複雑になって遺産分割協議がまとまらないデメリットが大きくなっていきます。

遺産の中に不動産があり、相続登記をせずに放置しておくと、2024年4月1日から始まった相続登記の義務化に反することにもなりかねません。また、相続税の申告が必要な事案の場合は作業を急がなければなりません。

いずれにしても数次相続が生じてしまっている場合は、行うべき作業は多くなりますし、遺産分割協議書の作成の仕方にも注意をすべき点が多々ありますので、ご不明な点があれば早めに専門家にご相談されることをお勧めします。