亡くなった父の遺産分割をした後に、父が連帯保証人になっていたことがわかりました。連帯保証債務も相続の対象になるのでしょうか。

被相続人が連帯保証人になっている場合、基本的にはその立場を相続することになります。

例えば、知人(主債務者)が金融機関や消費者金融からお金を借り入れる際に、お父様が連帯保証人になっていた場合、連帯保証債務も相続することになります。よって、主債務者が返済を怠った場合、相続人に遅延損害金を含めて高額な支払を求められる可能性がありますので、要注意です。

相続人間で遺産分割協議をした結果、私は何も遺産を相続しない、遺産を放棄することにしたのですが、それでも私は連帯保証債務を支払う義務があるのでしょうか。

債権者である金融機関や消費者金融は、遺産分割協議の結果がどのような内容であるにせよ、原則的には、各相続人に対して法定相続分に従った連帯保証債務の支払を求めることができます。

よって、遺産分割協議の結果、何も遺産を相続していないとしても、債権者から法定相続分の割合で支払を求められたら、支払う義務があります。

私は、遺産分割協議で遺産を放棄したので、相続放棄をしたことにならないのでしょうか。

相続放棄は、相続のあったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述の手続をしなければなりません。その手続をしていないのであれば、相続放棄の効果は生じませんので、債務も相続してしまうことになります。

被相続人が連帯保証人になっていたか調べる方法を教えてください。

連帯保証人付きで金融機関や消費者金融から借り入れする場合、契約者は主債務者(第三者)になることから、「親が連帯保証人だったとは知らなかった」というケースは少なくありませんので、注意したいところです。

被相続人が連帯保証人かどうか調べたいときは、以下の方法を参考にしてください。

①被相続人の自宅や事務所に、連帯保証人に関する契約書、連帯保証債務の請求書や督促状などの郵便物が保管されていないかを確認する。

②パソコンやスマホ、手帳やメモ類について、連帯保証人に関する記載等がないかを確認する。

③生前に交流のあった人に確認する。

④金融機関に預金口座の入出金履歴を請求して確認する。知人あての振込みなどから、連帯保証人になっていることがわかる場合もあります。

⑤信用情報機関である
「CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)」(ホームページ➡情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
「JICC(株式会社日本信用情報機構)」(ホームページ➡開示を申し込む | 開示サービス | 日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
JBA(一般社団法人全国銀行協会)」(ホームページ➡本人開示の手続き | 全国銀行個人信用情報センター | 一般社団法人 全国銀行協会
に相続人から情報開示請求をして確認する。

まとめ

相続は、プラスの財産だけではなく、借金などの債務も相続人に承継してしまいます。プラスの財産は把握しやすいですが、債務は何らかの情報がないと分かりにくいものです。

よって、誰にも実践していただきたいことですが、生前にエンディングノート(生前整理ノート)などに、具体的なプラスの財産の他に、借金などの債務があれば書き出しておきましょう。