エンディングノートは要らない?
ある司法書士から「エンディングノートは要らない、遺言の代用品にはならないから」とお聞きして、少しびっくりしました。市販されているエンディングノートには財産にどのようなものがあるかを書く欄があり、一般の方の中には、エンディングノートを書いておけば遺言の代わりになると誤解している方も実際にいらっしゃいました。その方には丁寧に説明して遺言書とエンディングノートの違いは理解していただきました。
司法書士の言いたいことは、準備しておくべき相続事前対策は実効性のあることを実行しましょう、たとえば、遺言書を残しておきましょうという趣旨を伝えるための発言であることは理解できます。
ただ、エンディングノートには、財産の記録だけではなく、ご自身の医療や介護に関して役立つ情報(かかりつけ医、服用している薬など)、亡くなった時に誰に連絡してほしい(連絡リスト)、臓器提供・献体の意思、葬儀の在り方の希望、保有する携帯電話・パソコンの情報やデータ処理の希望、遺影に使ってほしい写真の希望などいろいろ記載されているものもあり、突然に亡くなった場合、残された家族にとっては大変有益な情報になると思います。
よって、遺言書の代用品にはならないものだからエンディングノートは要らないという考え方には賛同できません。
特に、一人暮らしの高齢者が多くなった時代であり、そういった方々に遺言書を残してもらえればベストかもしれませんが、遺言書を書くことの手間(書き方もわからない)や費用のことなどを考えてしまう、また、日本ではまだまだ遺言書を書くことに前向きな方は少ないような状況にあっては、エンディングノートは最低限書き残していただきたいと私は思っています。書く欄のすべてを記載する必要はなく、書けるところを書いておくという気持ちでいいと思います。
生前整理ノート
当事務所では、エンディングノートというネーミングにひっかかりがあって、生前整理ノートという表題の物を作り、相談にお見えになった方たちに必要であれば無料で配布させていただいています。3月12日付けのブログにもアップしていますので、よろしければ見てください。
私は、残された家族のために遺言書は残していただきたいという思いは上記司法書士と同じですが、相談にお見えになった方には、遺言書と生前整理ノートの違いを説明して、遺言書はまだ早いという方には生前整理ノートだけでも書いていきませんかとお伝えしています。