デジタル終活の準備について~IDやログインパスワードの共有など~
スマホやパソコンの利用者の多くは、インターネット銀行や証券、電子決済、サブスクリプション(定額制)サービスを利用していると思います。
国民生活センターの調べによりますと、スマホでインターネットを利用する人は60代で約8割、70代でも5割に上るそうです。
このように幅広い年齢層にデジタル機器が普及して便利になった反面、利用者が亡くなった後のデジタルデータを巡るトラブルも増えてきています。
具体的には、亡くなった方のスマホやパソコンのIDやログインパスワードなどが共有されていないことから、スマホやパソコンのロックが解除できず、インターネット銀行や証券の口座を確認できないなど、相続財産の把握に困難を来すというトラブルが増えています。また、亡くなった後もスマホのサブスク利用料の引き落としが続くという事例も生じています。
日本デジタル終活協会の代表理事によりますと、ロックを解除する専門業者に依頼すると、スマホで費用は数十万円、期間も半年から1年ほどかかるという事案もあるとのことです。同終活協会のホームページには、「デジタル遺品の探しかた、しまいかた、残しかた」について参考になることが記載されていますので、参照しくみてください。下にホームページのURLを貼り付けますので、タップしてください。
日本デジタル終活協会ホームページ➡日本デジタル終活協会
上記のような状況になると、遺族は大変困ってしまいますので、IDやログインパスワードの共有などデジタル終活の準備を始められることをお勧めします。
IDやログインパスワードの共有方法について
共有の方法はいろいろあると思いますが、適切に家族と共有できる方法を選択しましょう。
例えば、終活に向けた生前整理ノート(エンディングノート)を作成しているのであれば、ノートにどのような機関にどのような財産を保有しているか(財産目録)、また、どのような電子決済、サブスクリプションサービスなどを利用しているかなどを書き出しておき、併せて、関連するIDやログインパスワード(ロック解除のものだけでなく、各種サービスに関連するものを含む)についてもすべて書いておくと情報が分散しなくていいと思います。
まとめ
遺産分割協議の業務を受任すると、思ったよりも時間を要するのは被相続人(亡くなった方)の相続財産の範囲の確定です。
これは、被相続人と相続人間において、相続財産の情報が共有されていないというのが主な原因と思われます。子どもから親に対して、相続財産に何があるのとは聞きにくいという感情面の問題も影響していると思います。
可能であれば、親が財産目録を作成しておかれると良いと思います。
今後は、上記のようにデジタル機器を利用した資産管理・運用をしていく方は益々増えていくでしょうから、ご家族のためにも、財産目録の作成と、デジタル遺産がある場合は、IDやログインパスワードも併せて記載しておくことをお勧めします。