生前、デジタル資産を持っていると言っていた父が亡くなりました。デジタル資産にはどのようなものがあるのでしょうか。
デジタル資産の種類は多岐に渡り、ネット銀行(オンラインバンキング)の口座に入っている預貯金をはじめ、電子マネーやキャッシュレス決済のチャージ残高、オンラインで取引中の株式や投資信託、FXなど様々です。ビットコインなどの仮想通貨もデジタル資産の1つです。
これらの資産は、相続資産としてみなされるため、所有していた人が亡くなった場合、相続資産としてカウントされます。相続の対象となったデジタル資産を「デジタル遺産」と呼ぶこともあります。
父からはどのようなデジタル資産を保有していたかを教えてもらったことはありません。調べるにはどうしたらいいでしょうか。
生前、お父様から見聞きした情報があれば記憶喚起してみましょう。それとともに以下の探索などを行ってみましょう。
①デジタル資産は、パソコンやスマホで口座開設ができ、オンラインで取引をしていることがほとんどですから、契約関係の書面はないかもしれませんが、まずデジタル資産に関連する書面(郵便物など)がないかを探してみましょう。
②デジタル資産を運用・管理するためにはアカウント(個人認証情報)として、IDとパスワード、メールアドレスなどが必要になりますから、お父様がそれらの情報を失念しないようにメモに残しているものがあるかもしれませんので、そういった物が残っていないかも探してみましょう。
③お父様が使用していたパソコンやスマホの中のメール、アプリ、各種データなどを調べてみましょう。
父が使用していたパソコンやスマホを起動するためのパスワードなどがわからない場合はどうしたらいいでしょうか。
まず重要なこととして、理由は後に記載していますが、お父様が亡くなったからといってすぐにスマホの解約をすることは控えましょう。
パソコンやスマホは、個人認証方法として、指紋認証や顔認証といった生体認証タイプと、パスワードやパスコード、パターンなどを入力するタイプなどに分かれているのが通例と思われます。いずれのタイプにしてもデジタル関連の知識や技術がないとロックの解除(起動)は難しいと思います。
①スマホについては、契約していた通信キャリアショップや通信事業者(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天、Appleサポートなど)に事情を説明してロックの解除をお願いしてみてもいいと思います。応じてもらえるかはわかりませんが、事業者によっては条件を満たせばロックの解除に応じてくれるところもあるようです。ただし、すでにスマホの解約をしてしまっている場合は、通信キャリアショップ等はロックの解除には応じてくれないと思われます。
②パソコンについては、インターネット上で、パスワードの解除の方法を記事にしてアップしているのを見かけますが、操作を誤ると解除ができなくなるばかりか、パソコン内のデータが壊れてしまう可能性も考えられますので、十分に留意して行ってください。
以上の作業等を行ってもロックの解除ができない場合は、デジタル遺品整理サービスを業種とする会社に依頼することを検討しても良いと思います。
結果として、デジタル資産の内容等が確認できれば、運営している会社に連絡をして相続手続を進めていくことになります。
まとめ
今後、デジタル化社会が進展していく中で、デジタル資産のサービスも増加・変容していくものと思われます。残された遺族のためにもデジタル資産を保有している方は、次のことを実践されることをお勧めします。
① 所有しているデジタル資産をリストアップしておく。
1つめは、自分が所有しているデジタル資産を相続人が分かるようにリストアップしておくことです。自分だけが保有していることを知っている状態は相続の際にトラブルの火種になってしまいます。自分がいない状況でも、家族が自分の資産状況を分かるようにしておきましょう。
また、保有しているデジタル資産の種類だけでなく、口座情報やアカウントのIDとパスワード、スマホのロック解除についても情報として書き残しておくと良いでしょう。長く使っていない証券口座も、少額でも残っている可能性があるので確認して記録しておくと安心です。ただし、IDやパスワードまで記入する場合は、セキュリティ性の高い保管方法を選択する必要があります。
② 終活の一環として、仮想通貨等の売却も検討する。
2つめは、終活を通してデジタル資産も整理しておくことです。自分が所有しているデジタル資産が家族に相続できるものかどうか、相続できる場合の手続について調査しておくと安心です。同時に、相続手続が煩雑になりそうなデジタル資産は、売却して現金化しておくことも検討しておきましょう。