行政書士に相続手続を依頼したときの費用相場はどのくらいになるのでしょうか。

行政書士に相続手続を依頼したときの費用は、「実費」と「報酬」の二つに大別されます。

相続手続における実費とは、一般的に、戸籍謄本など公的証明書の取得手数料、金融機関に対する残高証明の取得手数料、必要書類の取得のための郵送費、交通費など、これらはご自身で手続を行ったとしてもかかる費用のことです。

一方、行政書士の報酬は、一律の規定は存在しませんので、行政書士が自由に定めることができます。これは、行政書士のみならず、弁護士、司法書士などの他の士業においても同様です。

一般的な報酬額を知る方法としては、事務所のホームぺージに報酬表を掲載しているところが多いと思われますので、それをご覧いただけば概算額はわかると思います。また、行政書士法の定めにおいて、事務所内に報酬額を掲示することになっていますので、きちんとした額を知りたいということであれば、ご面倒かもしれませんが、付近の事務所にご相談に行って見積額を出してもらうのが確実といえます。

行政書士が報酬を決めるについて、何か根拠にしているものはあるのでしょうか。

日本行政書士会連合会では、5年に1度、全国的な報酬額統計調査を実施しており、同連合会のホームぺージにおいて、令和2年度報酬額統計調査の結果(令和3年1月実施)を公表しています。以下にホームぺージのURLを貼り付けましたので、タップしてご覧ください。
多くの行政書士は、この調査結果を参考にして報酬を決めていると思います。

日本行政書士会連合会令和2年度報酬額統計調査の結果(令和3年1月実施)URL➡報酬額の統計 | 日本行政書士会連合会

上記統計調査の結果に掲載されている情報量は多すぎて、一般の方が見ても分かりにくいと思いましたので、相続関連業務の情報だけを抽出した表を下に掲載しました。参考にしてください。ちなみに、この表はあくまで報酬額の平均及び最大値となっていますが、例えば、相続人の数や相続財産が非常に多かったりなどの要因によって実際の報酬額はかなり変動することはご理解ください。

報酬をなるべく安く済ませる方法があれば教えてください。

相続が発生した場合の流れ図を下に掲載したので、ご参照ください。

相続が発生した場合、例外を除いて、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本及び相続人の戸籍謄本などの取得(相続人の範囲の確定のため)と、相続財産の調査(相続財産の確定のため)は必須の作業となります。これらの作業は、必ずしも士業に依頼しなくても相続人の方々においてもできると思います。

例えば、戸籍謄本の取得に関しては、令和6年3月1日から、本籍地が遠くにある方でも最寄りの市区町村の窓口で戸籍証明書(戸籍謄本・改製原戸籍謄本:除籍謄本など)が1か所でまとめて請求できるようになりました(戸籍証明書の広域交付制度)。この制度を利用すれば、概ね1日で戸籍謄本が取得できますし、わからないことは市区町村の窓口担当者にお尋ねになれば丁寧に教えてくれます。

また、相続財産の確定については、被相続人の方に生前、エンディングノート(生前整理ノート)などに財産に何があるのかをきちんと書き残してもらっていれば、財産調査の作業量はかなり減少します。

よって、ご自身でやれることはご自身で行い、専門的な知識が必要な作業だけを士業に依頼するということにすれば、手続のすべてを士業に依頼するよりは必ず報酬額は低く抑えられます。

まとめ

相続手続を士業に依頼する場合は、誰しも報酬がいくらになるのかは気になると思います。

上記のとおり、ご自身でやれることはご自身で行えば、報酬は低く抑えられますし、また、相続が発生した時点で早めに必要な手続に着手すれば、結果として相続手続は早く済むと思います

相続手続において、何から手を付けたらいいのかも分からない場合は、区役所などで士業が行っている無料相談会でお聞きになるなど、専門家にご遠慮なくご相談いただくと良いと思います。