相続・遺言に対する意識調査の結果について

三菱UFJ信託銀行が昨年、40代以上の男女に相続・遺言に対する意識調査をした結果(有効回答者数:5,152)がホームページにアップされていました。その調査結果の中で、①遺言が必要と感じる理由②遺言が必要と感じながら書いていない理由③遺言が必要と考えない理由が記載されていましたので、ご紹介したいと思います。

なお、上記のホームページのリンクを貼り付けましたので、ご参考にしてみてください。
●ホームページ(MUFG相続研究所:三菱UFJ信託銀行 (mufg.jp)
●ホームページ(chosa_kennkyu_04.pdf (mufg.jp)➡このリンク先は意識調査の結果のすべてをまとめたPDFファイルになっていますので、同ファイルをダウンロードすると見ることができます。

①遺言が必要と感じる理由について

回答の多かった順に記載します。

1位「争いや揉め事の原因は極力なくしておきたい」
2位「年をとった場合に手続ができなくなるのが心配」
3位「遺言があったことで円満に相続手続が終わった話を聞いた」
4位「子供がおらず配偶者の兄弟や甥姪と話し合うのが大変なため」
5位「独身なので将来残った資産を世話になる人に渡したい」
6位「親のときに苦労した(争い、相続手続、相続税)」
7位「親も遺言を残していた」
8位「寄付したい先があるため」
9位「周囲に遺言を残す人が多いため」

②遺言が必要と感じながら書いていない理由について

1位「もう少し先の話だと思うから、まだ早いから」
2位「きっかけがないから」
3位「内容を決められないから」
4位「書き方が分からないから」
5位「面倒だから」
6位「だれに相談すればいいか分からないから」

③遺言が必要ないと考えている理由について

1位「財産が少ないから」
2位「法定相続でいいから」
3位「相続人で決めることだから」
4位「家族仲がいいから」
5位「どう分けるかは伝えてあるから」

意識調査に関する感想

私が相続・遺言の相談を受けていると、上記の調査結果と概ね同じような理由を言われる方が多いです。

私は、遺言を残せば必ず相続人の紛争を防止できるとは考えていません。裁判所勤務時代に、遺言の内容によって紛争に発展している現実を見てきているからです。だからといって、遺言は必要ないという考えではありません。相続が紛争に発展する割合としては、遺言がなく、相続人間で遺産分割の話がまとまらない場合が圧倒的に多いからです。また、公正証書遺言または自筆証書遺言(法務局保管制度を利用したもの)があることで相続手続が効率的に進められることは間違いないと思います。

遺言の書き方が分からないということで相談に来られる方は多いです。終活を考えて遺言を書こうと思ったら専門家に気軽に相談してみてください。
特に、相続税申告が必要となる可能性のある方は、遺言書の内容によって相続税が大きく変わってきますので、専門家に相談して遺言書を作成することを強くお勧めします。これは、遺言書がなく、相続人間で遺産分割協議を行う場合も同様ですので、相続人になられた場合は、相続財産を把握された段階で遺産分割協議書をまとめる前に専門家に相談されるといいでしょう。