相続税の申告の要否について

相続税が課税される財産額から債務や葬式費用を引いた額が正味の相続財産額となります。相続財産額が相続税の基礎控除額を超える場合、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から、10か月以内に税務署に相続税の申告と納税が必要になります。

相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。法定相続人が1人なら、基礎控除額は3600万円、2人なら4200万円と、法定相続人が1人増えるごとに600万円ずつ増えることになります。

相続財産額が相続税の基礎控除額を超えなければ相続税の申告は必要ないことになりますが、基礎控除額を超える可能性があるなら、税理士に相談することをお勧めします。相続税にはいろいろな特例制度があり、これを適用すれば納税の必要がなくなる場合もありますが、特例制度を適用するには相続税の申告が前提となりますので、曖昧な知識で申告をしないのは危険です。

国税庁のウェブサイト「相続税の申告要否判定コーナー」の活用について

相続税の申告が必要か確認するツールとして、国税庁のウェブサイトに「相続税の申告要否判定コーナー」(【相続税の申告要否判定コーナー】-申告要否判定コーナートップ (nta.go.jp))というページがあります。同ページにアクセスして、サイト上の説明を読みながら質問に答えを入力していくと、相続税の申告が必要かどうかの判定と、おおよその相続税の総額まで自動計算してくれます。

ただ、便利なツールではあるものの、土地の評価方式については、路線価方式と倍率方式があること、マンションの評価方法については、マンションは区分所有建物の価額とその敷地(敷地権)の価額の合計額によって評価することなど、答えを入力していくうえで、財産額評価のルールを知らないと頭が混乱してしまうかもしれません。一方で、入力画面には、財産額評価のルールについて基礎的な説明があり、また、国税庁の路線価図・評価倍率表のページ(財産評価基準書|国税庁 (nta.go.jp))に飛べるリンクが貼られていますので、財産額評価の基準を学ぶツールとして活用できると思います。

自分も上記のツールを実際に使用してみましたが、登記事項証明書などの資料が手元にないと入力が困難なところがありますし、まだ生存している自分の財産は今後変動していくことなどを考えると、入力するモチベーションは下がって途中で止めてしまいました。ただ、相続税に関していろいろ学べる工夫がなされているツールであり、使用してみて「なるほどな」と思う部分は多くありました。

実際に相続が発生した相続人の方にとっては、まず、相続財産額が相続税の基礎控除額を超えるかどうか判断するツールとして使用してみる価値はあると思います。基礎控除額を超えるか微妙ならば税理士に相談されることをお勧めします。