戸籍証明書等の広域交付制度ってどんな制度?
令和6年3月1日から戸籍証明書・除籍証明書が、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口で一括請求できる「広域交付制度」が施行されると法務省のホームページにアップされています。
私の父が亡くなったのは2003年ですが、葬儀をようやく終えてまだやることがいっぱいあるなかで、父の預金口座があるメガバンク(東海地方)に亡くなったことを伝えたところ、窓口担当者から、早く相続手続をしてください、いつまでに戸籍等を出してもらえますかと冷たい対応をされたのは今も忘れられません。
父は大正生まれで出生地は他県でしたので、郵送でやり取りして、転籍もしていたのでそこでもやり取りして大変だった記憶があります。
皆さんもご両親の相続手続で戸籍等収集で大変な思いをしたことは一度は経験されているのではないでしょうか。
広域交付制度ができたことでだいぶ楽になると思ったのですが、いろいろ調べていくと、どうも知っておかなければならないことがいくつかあるようです。
知っておかなければならないこととは?
① コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍を除くとあります。
戸籍法は何度も改正されてきましたが、コンピュータ化されたのは平成6年改正の時からですから、それ以前の改製原戸籍(作り替えられる前のものでデータ化されていないもの)は結局その本籍地の役場に請求しないといけないようです。
ただ、各自治体で改製原戸籍をスキャンしてデータ化していれば広域交付制度の対象になるとのことですが、全国の各自治体のマンパワーや予算を考えると古い戸籍がデータ化されるのはいつになるのでしょうか。
② 委任状による代理人による広域交付制度の利用はできない。
広域交付制度を利用する場合、本人、配偶者、子、両親(本人の兄弟姉妹は含まれない。)の中でだれかが直接役場に出向いて申請しないといけなくて、郵送では対応してくれないようです。また、司法書士、行政書士などに業務を依頼して戸籍証明書を取得してもらう職務上請求も広域交付制度の対象外となるようです。
広域交付制度によって利便性が良くなることは間違いないのですが、データ化されていない戸籍証明の取得は従前どおりの扱いであり、一定範囲の人が最寄りの役場に直接出向いて申請しなければならないようです。
お亡くなりになった時は、悲しみに浸る暇もなくやらなければならないことがいっぱいあり、仕事もあるという中で、相続手続を進めなければならなくなった人達からすると、もう一歩前進した制度設計にしてほしかったと思うのは私だけでしょうか。
データ化に携わる各自治体の職員の方々は大変でしょうが、頑張っていただきたいと思います。